第446回 < インバウンド訪日外国人入国数の記録更新について >

2025年6月の訪日外国人旅行者数が337万人を超え、2025年の半年で2151万人超と過去最速で2000万人を突破したというニュースがありました。今年はついに年間4000万人を超える勢いです。コロナ前の2018年、2019年に3000万人超を記録したインバウンド訪日外国人ですが、コロナ後に本格的な回復が始まった2023年は2500万人に留まり、2024年に2019年を超える3600万人を記録しました。コロナの影響のあった2020年から2023年を除けば、年率15%程度の伸び率を記録しています。
本コラムでは2015年と2018年にインバウンドの状況について取り上げたことがあります。当時、2017年に4100万人観光客数を記録した英国のインバウンド数を日本が抜き去り、イタリアに迫るのではないかと予測しましたが、いよいよその状況に近づきつつあるようです。一方、イタリアで問題になっていた「オーバーツーリズム」が日本でも問題になっているように見受けられます。特定の観光地に海外からの観光客が過度に集中し、地元住民の生活環境が悪化する状況です。特に、京都、鎌倉、日光などでこの問題が取り上げられているように思います。
しかし、日本にはまだまだ多くの観光資源があり、外国人観光客があまり訪れていない場所もたくさんあります。東京都ひとつとっても、大島、三宅島、八丈島、あるいは小笠原諸島に代表される島しょ部があり、観光客が十分認知しているとは言えないと思います。また、高尾山をはじめ、御岳山など豊かな自然の中で登山、ハイキングを楽しむことが出来る場所も東京都にあります。
東京オリンピックや大阪・関西万博開催等の勢いを借りて高い成長を続けるインバウンドですが、東京都をはじめとする地域のポテンシャルを考えれば、日本、東京におけるインバウンドは一過性のものではなく、イタリア、フランスのような観光立国になることにあまり違和感はないように思います。オーバーツーリズムの問題を回避しつつ、魅力のある様々な都市、地域に観光客を導くためには、効率の良い交通インフラ、宿泊施設の整備が必須です。高齢化が進む日本で、このようなインフラを整備していくことが次の大きなチャレンジかと思います。政府も東京都も空飛ぶクルマの実装化や魅力ある地域における宿泊施設の増設を後押ししているようです。私たちも、民間企業やベンチャーが知恵を出し合って今後50年続く日本の観光立国化を進めている中、投資事業を通じてこの流れをサポートしていきたいと考えています。