第425回  < 2024年 本年もよろしくお願い申し上げます > 

新年あけましておめでとうございます。本年も1年よろしくお願い申し上げます。 

 昨年は米国の金利上昇の影響が大きく、米国では株式市場から債券市場への資金ローテーションが見られる一方、低金利を維持する日本における株式市場が大きく上昇しました。また、日米金利差の拡大を背景にドル円は円安方向に大きく変動しましたが、2023年末にかけては米国の金融政策に変化が見られるとの思惑も働き、米国10年債金利が5.0%から4.0%割れまで低下する過程で150円から140円への急激な円高となりました。 

 2023年はプライベート資産市場についても変化が見られました。米国の金利上昇の影響が時間差をもって現れた結果、以下の各資産クラスへの資金流出入に次のような現象が見られました。 

  1. 株式市場への資金流入が減少、また、IPOが減少したことによってベンチャー企業の過剰な株価評価が調整し、VCの資金調達も低調となった 
  2. 金利上昇の影響でリファイナンスによる資金調達コストが上昇し、バイアウト案件について、新規取組、およびエグジットともに減少 
  3. 金利上昇に伴いプライベート・クレジットファンドの期待リターンが上昇し、機関投資家資金が流入 
  4. 相対的に低金利が継続している日本のバイアウトファンドに対するグローバル投資家の期待が上昇し、海外バイアウトファンドが資金募集に苦戦する一方、国内バイアウトに資金が流入  

 また、私たちが活動を行っているプライベート資産のセカンダリー投資の環境にも変化が見られました。特に、日本の機関投資家の皆様が保有しているバイアウトファンドやベンチャーキャピタルなどのプライベートファンドの持分を幾つかの理由で売却する動きが加速したことです。例えば、銀行などの金融機関の中で、バランスシートに占めるプライベート資産の分量が過去になく多くなったことで、規制上の資産に占めるリスク資産量を調整する動きが出てきました。結果として、ファンド持分をセカンダリー市場で売却する金融機関も散見されるようになりました。また、ドル円相場が大きく円安ドル高に振れたことで、日本の投資家にとっての海外ファンドの持分がドル高分で上乗せされた利益を確定するために、ファンド期間中の投資持分を売る動きが出てきました。 

 グローバル市場では、プライベートファンドの持分の取引はこの15年で巨大な市場に成長する一方、日本ではこの動きが非常に緩やかなものでした。一つの要因としては、日本の金融機関の中には純投資以外の戦略的な目的でファンド投資を行う動きが多かったことも挙げられます。しかし、日本でもこの10年程度で純投資目的としてのファンド投資活動も加速した結果、今後は保有資産をリバランスや利益確保を目的とした売却も増加するものと思われます。2015年からプライベート資産のセカンダリー投資を始めた私どもあいざわアセットマネジメント株式会社は、これまでの経験を活かして、このような売却ニーズに応えられるよう、今年一層努力を積み重ねたいと考えています。

 2024年の干支は、「甲辰(きのえたつ)」です。「甲」は十干の1番最初にあたり、生命や物事の始まりを意味する一方、鎧兜を意味する等、堅い守りも意味しているようです。「辰」は振るう様を表し、陽気が動きそれにより自然万物が振動し、草木も伸長するなど活力が旺盛になる状態です。辰は龍でもあり十二支の中で唯一空想上の生き物ですが、東洋では龍は権力や隆盛の象徴でもあります。このような意味合いから、「甲辰」である2024年は、将来の大きな成長を支える準備が整う年となりそうです。 

 皆様にとって、2024年が素晴らしい一年になりますように、心から祈念申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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