第408回 < Open AI のChat GPTを利用してみて >
今年に入ってから、身の回りで Chat GPT に関する話題が、仕事上はもちろんのこと、友人とのちょっとした会話の中でも頻繁に出てくるようになりました。2015年にイーロン・マスクやピーター・ティールなどの著名な投資家や起業家により、設立された人工知能開発の非営利団体である OpenAI 社に対して、2019 年にマイクロソフトが 10 億ドルを出資した当時は、今のような状況を予測していた人は多くはいなかったでしょう。しかし、2022 年 11 月に今回の Chat GPT がリリースされ、さらに、2023 年 1 月 23 日にマイクロソフトが OpenAI 社に対し、複数年にわたって 100 億ドル(約1.3兆円)の投資を行うと報道されたことで、本件の認知度が急速に高まりました。
驚くべきことに、Chat GPT の利用者数は、2022 年 11 月 30 日のリリースからわずか 5 日で100 万人を突破し、2023 年 1 月には 1 億人を超えたとのことです。1 億ユーザーまでの到達期間が、わずか 2 ヶ月であることは、ティックトックの 9 ヶ月やインスタグラムの 2 年半と比較しても、非常に速いといえます。最近では Chat GPT に関する記述が数多く投稿されており、OpenAI 社や同社による GPT 開発の歴史などに簡単にアクセスできます。
Chat GPT に関するいくつかの記事を読んでみると、当初、機械翻訳の分野で大きな成果を上げた自己回帰型ニューラルネットワークを基にして、OpenAI 社がWebテキストを用いた大規模な言語モデルとして開発を行った成果と言えそうです。現在リリースされているバージョンは、1750億という膨大なパラメータで構成された自然言語処理分野における最先端のモデルであり、入力されたテキストを時系列的に処理して応答を作成します。さらに、本モデルは大規模なテキストデータを用いて事前学習、及び微調整を行うことでユーザーとの自然な対話を行うことが出来る優れものです。
実際に Chat GPT を利用してみると、これまでの Alexa や Siri とは全く異なるスムーズな対話が可能であることに驚かされます。また、複雑な質問にも対応し、同じ質問を繰り返しても毎回異なる回答を返すことで、ユーザーの心をつかむ力があります。これは、ユーザーからのフィードバックをもとにした強化学習機能の結果ですが、人との会話に近いことに驚きます。日本語での学習量が少ないため、英語に比べて質の高い回答を得にくいとされていますが、試してみたところ日本語でも十分な回答を得ることができるように感じました。
このように、感動的な Chat GPT の登場により、同機能の様々な応用が期待されます。金融業界でも、金融商品の AI による提案機能、リスク分析の自動化、契約書の要約や分析など、人のサポートツールとして徐々に活用されるようになるでしょう。また、各業界での DX 化も今後加速することが予想されます。
もちろん、現時点では課題も多く見られます。特に情報の正確性についてはかなり改善の余地があり、回答が断定的であることも多いため、誤った情報が拡散するリスクをはらんでいます。また、使い方には注意が必要で、子供の学習能力や効果を著しく阻害するリスクもあります。今後、一部の中高生のレポートが Chat GPT によって作成されることが不可避であるように思われます。アメリカでは学生の Chat GPT 利用を制限する動きが出ているようですが、日本でも教育現場での対応が必要になることが予想されます。
ちなみに、本原稿は、いつものように私が書いた原稿をChat GPTに添削をしてもらった結果です。元の文と比べてみると文章が大分簡潔になり、読みやすくなったように思います。このようなテクノロジーの進化が私たちの生活に、そして投資活動にどのような変化をもたらすかについて考えていきたいと思います。
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