第453回  < 多摩エリアにおける大学発スタートアップイベントに参加して >

先日、3月4日に東京農工大学・府中キャンパスにて、「大学発!地域共創型グローバルスタートアップエコシステム」というイベントが開催されました。本イベントは、多摩地域を拠点とする東京農工大学・電気通信大学、そして首都圏の大学から構成される「世界を変える大学発スタートアップを育てる」プラットフォーム GTIE(Greater Tokyo Innovation Ecosystem)が共催し、大学・起業家・投資家・金融機関関係者を招いて、多摩地域のスタートアップ創出力強化と連携促進を目的に実施されたものです。

東京都という恵まれた自治体にありつつ、23区とは異なる独自の環境を持つ“多摩地域”という地の利を活かし、どのようなスタートアップエコシステムを築けるのか。会場では、このテーマを軸に活発な議論が行われました。

基調講演では、当社が運用する「たましま地域活性化ファンド」の取り組みをご紹介するとともに、多摩地域における産官学金連携によるスタートアップ支援の実践についてお話ししました。続いて、日本総合研究所の東博暢氏より、シンクタンクの視点から地域スタートアップエコシステムの現状や政策課題について解説いただきました。

その後のパネルディスカッションでは、ベンチャーキャピタルの立場からファーストライト・キャピタルの頼マネージングディレクターにもご登壇いただき、地域発スタートアップにとどまらず、日本全体としていかに“勝てるスタートアップ”を生み出していくかという視点で、非常に熱量のある議論が展開されました。

今回の会場となった東京農工大学の「邂逅館(かいこうかん)」は、昨年2025年4月にオープンしたばかりの施設です。「西東京国際イノベーション共創拠点」として、農工大の研究シーズを活かしながら「食」「農業」の分野で新規事業を創出することや、民間ファンドと連携したスタートアップ育成に注力しています。また、共催の電気通信大学も邂逅館の取り組みに参画しており、「多摩を、未来を創る最先端の地として、世界一暮らしやすいイノベーション都市へ」という農工大学学長のビジョンのもと、研究者・企業・金融機関が連携するハブとして期待が高まっています。

日本は世界に先駆けて人口減少フェーズに入り、持続可能な地域経済を維持するには、あらゆる分野でロボティクス化の推進、医療高度化、気候変動に対応した農業技術の進化など、大学・研究機関の成果の社会実装が欠かせません。その一方で、研究成果を人々の暮らしに根付かせるには、起業家や事業会社、資金供給者、そして制度設計を担う自治体が連動する“エコシステム”の形成が不可欠です。

こうしたエコシステムは、世界規模・国家規模の大きな枠組みだけではなく、地域ごとに異なるニーズやプレイヤーに基づく“ローカルな仕組み”として構築されるべきものです。「たましま地域活性化ファンド」の運営を通じて今回のイベントに参加し、改めて地域×スタートアップエコシステムの重要性を強く認識しました。

世界で、日本で何が起きているのかを正しく理解しながら、多摩地域のスタートアップエコシステム創出と成長にどのように貢献できるか——私たちも挑戦を続けてまいります。

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