第451回< 2026年 オルタナティブ投資市場の行方について >

2005年に本コラムを開始してから、早くも21年が経過しました。毎年年初には、その年の市場動向を予想してきましたが、昨年2025年初の内容を振り返ると、「株式市場の上昇傾向維持」「緩やかな金利上昇」「緩やかな円安」「物価上昇基調の継続」を予想しており、結果として2025年は概ね波乱の少ない一年でした。では、2026年はどうなるでしょうか。

今年の干支は「丙午(ひのえうま)」です。「丙」は太陽のように盛んに燃え広がる「火の兄」を意味し、「午」は俊足で力強い馬、そして燃え盛る火を示します。エネルギーに満ちた年を暗示する一方で、相場格言「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱」にあるように、市場のピークアウトを示唆する側面もあります。

今回は、2026年の市場動向、とりわけオルタナティブ投資資産への投資環境について考察します。

 ■ バイアウト市場

2025年は、日本のバイアウト投資の優位性が際立った一年でした。米国では関税問題や金利高止まりの影響で、バイアウトファンドの回収が遅れる傾向が見られました。また、レバレッジを提供するプライベート・クレジットファンドや一部金融機関で信用リスクが顕在化し、投資家パフォーマンスに悪影響を与えています。一方、日本では低金利、豊富な案件、米中関係悪化による海外資金流入などの追い風を受け、バイアウト市場は活況でした。M&Aも引き続き盛んで、2026年もこの傾向は続くと見込まれます。ただし、高レバレッジが常態化する中、リターンはやや頭打ちになる可能性があります。

 ■ スタートアップ投資

スタートアップ企業への投資は、2025年は厳しい一年でした。政府のスタートアップ育成5カ年計画は折り返しを迎え、成果が問われる段階に入っています。補助金などの支援は続いていますが、コロナ禍直後に強気な評価で資金調達した企業の中には、事業実績が追いつかず、資金繰りに苦しむケースが散見されます。2026年もこの傾向は続くでしょう。一方、投資家にとっては、適正な評価額で優良スタートアップに投資できる機会が増え、数年後の高リターンにつながる可能性があります。

 ■ 実物資産(インフラ・不動産)と金

インフラや不動産への海外資金流入、金融機関の積極的な融資姿勢は継続しており、2026年もこのトレンドは維持されると考えられます。一方、金価格の上昇は、マイナス実質金利や地政学リスクの高まりを背景としており、1970年代初頭のインフレーション期を彷彿とさせます。当時、世界は10年以上にわたるインフレ時代を経験しました。もしかすると、2026年の現在、私たちは新たなインフレ時代の入り口に立っているのかもしれません。

 ■ 株式市場とアクティビスト

国内株式市場では、アクティビストの台頭から10年以上が経過し、機関化・大規模化したファンドが存在感を増しています。昨年末以来、エリオットが豊田自動織機に対して大規模投資を行い、トヨタ自動車グループによる公開買付価格の低さを問題視する発言をしています。この対応は、日本市場におけるアクティビストの今後の在り方に影響を与える可能性があり、注目されます。

 ■ 総括

以上が、2026年のオルタナティブ投資の見通しです。1年前に比べると楽観度はやや低下していますが、日本国内での投資は引き続き良好なパフォーマンスが期待されます。今年も一年、よろしくお願い申し上げます。

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