第452回 < たましま地域活性化ファンド設立について >
昨年末、当社は東京都からの出資を受け、「たましま地域活性化投資事業有限責任組合」を設立し、運用者として投資を開始しました。本ファンドは、東京都の中でも23区以外に位置する 多摩地域と島しょ部に特化した、ユニークな投資ファンド です。地域のベンチャー企業や中小企業を、資金と経営の両面から支援し、地域経済の循環と持続的な発展を後押しすることを目的としています。
東京都には、奥多摩の山間部に代表される豊かな自然や、大島に象徴される火山島のようなダイナミックな海洋環境があります。しかし、これらの魅力を観光資源として十分に活かしきれているとは言えません。
多摩地域では、1975年前後の高度経済成長期に人口が急増し、下水道や学校といったインフラ整備が追いつかず、当時「三多摩格差」として大きな課題となりました。長年の取り組みにより格差は縮小したとされますが、現在でも 23区の地方税収は多摩地域30市町村の約3倍 に上り、東京都の人口約1,400万人のうち、約430万人が暮らす多摩地域とは、依然として経済面の開きが残っています。小池都政では、多摩格差の解消に向け、インフラ投資や交付金の増額、給食費無償化補助の拡大など、多角的な施策を進めています。本ファンドへの出資もその一環で、多摩地域と島しょ部の中小企業を支援し、地域経済の持続的成長を促す狙いがあります。
東京都という恵まれた自治体の中にありながら、日本各地の自治体と同様の課題も抱える多摩地域・島しょ部での地域活性化は、全国の“中小企業を起点とした地域再生”のロールモデルとなる可能性を秘めています。具体的には、中小企業が直面する事業承継問題に対し、買収やロールアップといった手法を活用した解決策が考えられます。また、東京中心部以外のフィールドだからこそ生まれるスタートアップの支援や、地方発イノベーション、新産業の創出にも期待が高まっています。さらに、豊かな自然を活かした観光産業の発展も、本ファンドが目指すテーマのひとつです。
私自身、長く東京都に暮らしていながら、ファンド運営を機に多摩地域へ頻繁に足を運ぶようになり、多くの新たな発見がありました。23区の住宅費高騰によって子育て世代が西東京エリアへ移り始め、自然と利便性を併せ持つ立川などでは住宅価格の上昇が見られています。観光地として人気の高尾山は日帰り客が中心で宿泊客は少ない一方、御岳山には多くの宿坊があり、十分な受入れ環境が整っているにもかかわらず、観光地としての知名度は限定的です。
また、多摩地域は広い土地を活かし、多くの大学が集積しています。現在、一橋大学(国立)、東京農工大学(小金井)、電気通信大学(調布)などとの連携を本ファンドを通じて議論していますが、他にも魅力的な大学が多数存在しており、産学連携の可能性は大きく広がっています。さらに、大島・三宅島・八丈島に加え、小笠原諸島までが投資対象となっており、豊富な観光資源をどのように活用できるか、日々思案しています。
このように、「たましま地域活性化ファンド」を通じて、驚くほど多くの新しい気づきが生まれ、日々心が躍る思いです。本ファンドからの投資を、金融リターンと地域活性化の両面で結びつけられるよう、今後も努力を重ねてまいります。引き続き皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます。

